「they」は誰のこと? TOEIC リーディングの代名詞の落とし穴

「they」は誰のこと? TOEIC リーディングの代名詞の落とし穴

試験開始から75分。Part 7 は長く続き、いま読んでいるメールはさらに長い — 出荷の遅延についてのやり取りで、顧客、営業担当、物流マネージャー、そして曖昧な「the team」が登場します。ようやく設問にたどり着きます:

"The word they in paragraph 3, line 4, refers to:"

A) the customers B) the warehouse staff C) the regional managers D) the delivery drivers

4行目をちらりと見ます。「they」が見えます。1行上をちらりと見ると「regional managers」が目に入ります。簡単でした。C をクリックして次へ進みます。

2分後、次の設問で気づきます。regional managers は前の文の主語ではなかったのです — ただ通りすがりに触れられていただけ。本当の先行詞は3文前、さっと読み飛ばしたメールの部分にありました。1点が滑り落ちていくのを感じます。

代名詞の指示問題は語彙の問題ではありません。実は本当の意味での読解問題ですらありません。それは、ある瞬間に文章の主語を誰が握っているのかをめぐる、静かで小さな文法のパズルです。誰がこれらを制するかを決める四つの落とし穴を紹介します。

TOEIC のリスニングとリーディングのどこに出るか

代名詞の指示問題は Part 7: リーディング(Reading Comprehension) に登場します。シングルパッセージ(Single Passages) のセット — 先行詞が同じメール、記事、お知らせのどこかにある — と、マルチプルパッセージ(Multiple Passages) のセット — 先行詞がまったく別の文書にあるかもしれない — の両方に現れます。複数文書をまたぐ版が最も難しく、代名詞とその先行詞が丸ごと一ページ分のテキストで隔てられていることもあるからです。

Part 6: 長文穴埋め(Text Completion) で代名詞を感じることもあります — 曖昧な「she」や「it」を含む候補の文は、指示関係が崩れるために誤答になりえます。ただし、正式な「the word X refers to」の設問は Part 7 の定番です。

落とし穴 1: 明白そうで間違いの候補

仕掛けはこうです。誤答はほぼ常に、代名詞のすぐ前に現れる名詞です。正答は、その段落の主語の連続性(subject continuity) を握っている名詞です。

例:

The marketing department met with the regional managers on Tuesday. After several hours of discussion, they approved the new advertising campaign.

とっさの反射: 「regional managers」は「they」のすぐ前にある。それを選ぶ。でも、マーケティングキャンペーンを実際に承認するのは誰でしょう — marketing department なのか、それとも訪問してきた regional managers なのか。ビジネスの文脈ではどちらもありえます。だからこの設問はこう問います: その段落で主語であり続けてきたのは誰か?

前の段落が marketing department の計画プロセスを描写してきたなら、たとえ「regional managers」のほうが近くても、「they」はほぼ確実に marketing department を指します。近さは餌です。主語の連続性こそが答えです。

「refers to」の設問を見たら、ただ直前の名詞を見るだけにしないこと。後ろにさかのぼって、その段落で動詞を駆動してきたのがどの名詞かを見つけましょう。それが先行詞です。

落とし穴 2: customer / employee / applicant と使う単数の「they」

現代のビジネス文書は、特に人事メモ、カスタマーサービスの返信、ポリシー文書で、単数の they(singular they) を常に使います。TOEIC もこれに追いついています。だからこう見かけます:

If a customer requests a refund, they should receive a response within 24 hours.

先行詞は「a customer」 — 単数です。代名詞は「they」 — 文法上は複数のように見えますが、一人を指しています。硬直した代名詞ルールを学んだ受験者は、これを拒否して文章の別の場所に複数名詞を探し、「all customers」や「the staff」のような罠の選択肢に陥ることがあります。

対策: 設問が「they」についてで、周囲の文に a customer, an employee, an applicant, a visitor, a guest のような一般的な単数が含まれているなら、その単数名詞がほぼ常に先行詞です。考えすぎないこと。

落とし穴 3: マルチプルパッセージでの文書をまたぐ代名詞

これが過酷なものです。マルチプルパッセージ(Multiple Passages) のセットでは、関連する2〜3の文書を読むことがあります — 例えば、顧客からのメール、営業担当からの返信、そして社内メモ。代名詞は文書2にあります。先行詞は文書1にあります。

構造の例:

Email 1(from Maya Chen, customer): "I ordered three units of the X400 printer on March 5. The order has not yet arrived..."

Email 2(reply from sales rep): "Dear Ms. Chen, thank you for letting us know. They are scheduled to ship today and should arrive by Friday."

設問: "The word they in the reply refers to:"

返信だけを読むと、「they」は孤立して見えます — そのメールには複数名詞がありません。Email 1 にさかのぼって「three units of the X400 printer」を見つけなければなりません。それが先行詞で、前のページに座っています。

罠は、選択肢が返信メール自体からもっともらしい名詞を出してくることです — 「the customer service team」「the sales managers」 — 相互参照しなければ、そのどれかに引っかかります。

サバイバルのコツ: マルチプルパッセージのセットで代名詞の設問を見たら、確定する前に必ず他のパッセージを確認すること。

落とし穴 4: 節全体を指す「It」

最後の落とし穴は「it」という語に関わります。これは名詞を指すこと、状況・考え・節の全体を指すことできます。TOEIC は2つ目のケースをテストするのが大好きです。

例:

The proposal includes a flexible work schedule, expanded parental leave, and a four-day pilot week. The board has not yet approved it.

「it」は何を指すでしょう? schedule でも、leave でも、week でもありません。それは提案全体(the proposal as a whole) を指します。選択肢は「the proposal」や「the policy change」のように書かれていて — 3つの構成要素のどれでもありません。

別の版:

The team finished the audit two weeks ahead of schedule. Management was impressed by it.

ここでの「it」は audit を指していません — チームが早く終わらせたという事実(the fact that the team finished early) を指しています。答えは「the team's early completion of the audit」や「the on-time delivery」のように書かれているかもしれません。

「it」を見て、選択肢に具体的な名詞と「the situation」や「the early completion」のような抽象的な語句の両方が含まれているとき、周囲の文がモノではなく事実に反応しているなら、抽象的な語句のほうを選びましょう。

間違い / より良い / なぜ

間違い より良い なぜ
代名詞のすぐ前の名詞を選ぶ。 段落の主語の連続性を駆動する名詞を選ぶ。 近さは餌で、主語の連続性がルール。
単数の先行詞を持つ「they」を拒否する。 「a customer ... they」を受け入れる — 単数の they はビジネス英語の標準。 現代のポリシー文書は単数の they を使い、TOEIC は実際の用法を反映する。
マルチプルパッセージのセットで一つのパッセージ内にとどまる。 確定する前に他の文書を相互参照する。 先行詞は前のページにあることが多い。
「it」を最も近い具体名詞に対応させる。 「it」が提案・状況・事実の全体を指すことを許す。 「It」は節全体を先行詞として取れる。

試験当日の戦略

Part 7 は平均で1問あたり約1分で進み、リプレイも音声もありません — ペースは自分で握ります。代名詞の指示問題には約45秒を割り当てましょう。たいてい詳細問題や推論問題より速いので、ほかの箇所でちょっとした余裕を生んでくれます。

「the word X refers to」の項目に来たら、こうします。まず、文章中の正確な行を特定する。次に、同じ段落を後ろにさかのぼって、動詞を駆動してきた名詞を探す。三つ目、同じ段落で説得力のあるものが見つからなければ、前の段落を — マルチプルパッセージのセットなら前の文書を — 探す。四つ目、「it」が名詞ではなく節を指している可能性を確認する。五つ目、主語の連続性のない、ただ最も近いだけの名詞の選択肢を消去する。

事前読みが役立ちます。長い文章を読む前に、設問にちらりと目を通しましょう。代名詞の設問を見つけたら、その行を心に留め、読みながら主語の連続性に注意を払います。

小テスト

1. 一通のメールから: "Our team met with the new vendors last week. After reviewing their proposal, they decided to extend the trial period by 30 days."

The word they refers to:

A) the new vendors B) our team C) the proposal reviewers D) the executives

2. カスタマーサービスの返信から: "If an applicant submits documents after the deadline, they will receive a notification within two business days."

The word they refers to:

A) all applicants B) the documents C) an applicant D) the staff

3. 2文書のセットから(email + memo):

Email: "I placed an order for twelve office chairs on April 2." Memo: "They are now in stock and will be shipped this week."

The word they refers to:

A) the office staff B) the warehouse team C) the customers D) the office chairs

Answer key:
1. B — our team is the paragraph's subject ("Our team met... after reviewing their proposal, they decided"); "new vendors" is bait by proximity.
2. C — singular "an applicant" is the antecedent; "they" is the modern singular pronoun.
3. D — cross-passage reference; the antecedent is in the email, not the memo.

まとめ

  • 代名詞の指示問題は、近さではなく主語の連続性をテストする。
  • 一般的な単数名詞と組む単数の「they」は正しく、出題される。
  • マルチプルパッセージのセットでは、先行詞は別の文書にあることが多い。
  • 「It」は状況・事実・提案の全体を指すことができる — 近くの名詞だけではない。

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