TOEIC徹底解説:L&R、S&W、そしてなぜ2つの試験に分かれているのか

TOEIC徹底解説:L&R、S&W、そしてなぜ2つの試験に分かれているのか

「TOEIC」について調べ始めた人の多くは、すぐに戸惑う事実にぶつかります。TOEICという単一の試験は存在しないのです。存在するのは2つ、TOEIC Listening & Reading Test(通常 TOEIC L&R と表記)とTOEIC Speaking & Writing Tests(TOEIC S&W)です。名称、実施機関、目的は共通していますが、それ以外はほとんど別物です。使用機材も異なり、採点尺度も異なり、料金も別々です。キャリアを通じて片方しか受験しない人も多く、両方受験する人もいます。

就職活動、社内配属、ビザ、個人の実力確認など、初めてTOEICを検討しているのであれば、それぞれの試験が何であり、何を測定し、自分にとって本当に必要なのはどちらかを明確にした地図があってしかるべきです。本ガイドは、その地図を提供するものです。

TOEICとは何の略か

TOEICはTest of English for International Communication(国際コミュニケーション英語能力テスト)の略です。TOEFLやGRE、Praxisを手がけるETS(Educational Testing Service)が1979年に開発した試験で、もともとは日本の通商産業省(当時)が、日本のビジネスパーソンの職場英語能力を信頼性高く測定する手段を求めて依頼したことが発端でした。その後40年の間にアジア、ヨーロッパ、ラテンアメリカへと広がり、現在では160ヵ国以上の14,000以上の組織が、採用、昇進、配属、研修の判断に活用しています。

名称の中で最も重要なキーワードは「コミュニケーション」であり、「アカデミック」ではありません。大学出願を目的とし、講義・教科書・セミナーの英語を試すTOEFL iBTとは異なり、TOEICは、オフィス、会議、出張、日常の職場生活で耳にし、使う英語を測定します。出題される14の状況カテゴリーには、企業開発、外食、娯楽、財務・予算、一般ビジネス、健康、住居、製造、オフィス、人事、購買、技術分野、旅行、日常コミュニケーション全般が含まれます。

よくある誤解の一つに、TOEICは専門的なビジネス用語を問う試験だというものがあります。そうではありません。「EBITDA」や「減価償却スケジュール」の定義を問われることはありません。試験は、受付係、エンジニア、営業担当、マーケティング・コーディネーターが通常の勤務中に実際に耳にしたり読んだりするであろう、日常的な職場英語の範囲にとどまります。

なぜ2つの試験に分かれているのか

1979年にTOEICが誕生したとき、測定の対象はリスニングとリーディングのみ、つまり2つの受容スキルだけでした。その状態が数十年続いても問題は生じませんでした。企業が求めていたのは、英文メールを読み、会議についていき、英文書類を処理できるかどうかを示す標準化された一つの数字だったからです。紙とマークシート方式のリスニング・リーディングは、効率よく低コストで大規模にその数字を生み出しました。

しかし、受容スキルだけでは物語の半分しか語れません。TOEIC L&Rで900点を取った社員が、海外顧客とのビデオ会議で言葉に詰まってしまったり、文法ミスだらけのメールを送ってしまったりすることもあります。そこでETSは2006年、L&Rだけでは測れない産出スキルを測定するため、TOEIC Speaking と TOEIC Writing という別個のペアのテストを導入しました。これらはコンピューターで実施され、別の尺度で採点され、別商品として販売されています。

結果として、それぞれが異なる目的を担う2試験体制が確立されました。

  • TOEIC L&R — 安価で大規模展開が可能、紙ベース。多数の候補者のスクリーニングや、全社的な英語力のベンチマーキングに最適
  • TOEIC S&W — 料金は高め、コンピューターベース、タスク型。スピーキング・ライティング能力の証拠が求められる職務に対応

採用側は、職務が実際に何を必要とするかに応じて、どちらの試験(あるいは両方)を要求するかを決めます。英語の安全通知書を読む工場の現場監督ならL&Rだけで十分かもしれません。英語で電話やメールを扱う顧客対応コンサルタントなら、両方が必要でしょう。

TOEIC L&R:紙で実施される基礎試験

形式

TOEIC L&Rは、2時間・紙ベース・多肢選択式の試験で、リスニングとリーディングに均等に配分された200問で構成されます。HB(No. 2)の鉛筆が必須です。解答用紙は光学マークスキャナー用に設計されており、ボールペンやシャープペンシルではスキャンエラーの原因になることがあります。2セクション間に予定された休憩はありません。

セクション 時間 問題数 Parts
Listening 約45分 100 Part 1: Photographs (6) — Part 2: Question-Response (25) — Part 3: Conversations (39 = 13 × 3) — Part 4: Talks (30 = 10 × 3)
Reading 75分 100 Part 5: Incomplete Sentences (30) — Part 6: Text Completion (16) — Part 7: Single Passages (29) + Multiple Passages (25)
合計 約2時間 200

リスニング音声は、試験会場のCDまたは館内放送設備から流されます。ヘッドホンではありません。各音声は一度だけ流れ、別紙の解答用紙にマークします。リーディングでは、75分の制限時間内で3つのパートに自分でペース配分します。

採点

各セクションは5~495の尺度で5点刻みに採点され、2セクションの得点を合算して合計10~990点となります。端数の得点は存在しません。TOEFLやIELTSとは違い、TOEIC L&Rではバンド(レベル)での報告はありません。785920といった数字そのものが結果です。

スケールド・スコアは試験版間の難易度差を補正するため、ある試験日の750点は別の試験日の750点と同じ能力を意味します。ETSは、セクションごとに測定の標準誤差(SEM)が約±25点、2回の受験間での差の標準誤差(SE_diff)が約±35点であると公表しています。平たく言えば、2回の受験間で10~15点程度の変動は統計的ノイズであり、実力の変化ではありません。公表されている信頼性係数は、両セクションとも0.90以上です。

スコアの有効期間は、受験日から2年間です。それを過ぎると公式スコアレポートは請求できなくなりますが、手元の証明書自体は過去の受験記録として残ります。

L&Rが実際に測定しているもの

リスニングでは、短い写真描写、1往復のQ&A、2人の会話、短いトーク(アナウンス、留守番電話、ニュース、放送)の理解を測ります。アクセントはアメリカ英語、イギリス英語、カナダ英語、オーストラリア英語を含み、一回の試験内ですべて耳にすることになります。

リーディングでは、単独の文での文法・語彙(Part 5)、短文の空所補充による文法・談話(Part 6)、単独パッセージ(メール、記事、掲示、広告)および複数パッセージセット(2~3つのテキストが同一場面に関連する)での読解(Part 7)を測定します。

L&Rでは、英語を産出する必要はまったくありません。話すことも書くことも、タイプすることもありません。これは意図的な設計です。200問のMCQを機械採点すれば数分で処理でき、1つの試験会場で数百人を同時に受験させられる、というL&Rの効率性はここから来ています。

TOEIC S&W:コンピューターで実施される産出試験

TOEIC Speaking と TOEIC Writing は、それぞれ独立したコンピューターベースの試験で、各々0~200点のスコアを持ちます。通常は同じ試験セッションで一緒に受験するため(それゆえ「S&W」という呼称)、各試験はそれぞれ独自のタスク、時間、採点方式を持ちます。

TOEIC Speaking:11タスク、約20分

ヘッドセット・マイクに向かって話し、録音された応答がETS認定の人間の採点者によって後で採点されます。実際のインタビュアーはいません。

タスク種別 準備 発話 配点
Q1-2 Read a Text Aloud 45秒 45秒 0-3(Pronunciation、Intonation/Stress)
Q3-4 Describe a Picture 45秒 30秒 0-3(Grammar、Vocabulary、Cohesion を追加)
Q5-7 Respond to Questions 3秒 15-30秒 0-3(Relevance、Completeness を追加)
Q8-10 Respond Using Information Provided 45秒(準備) 15-30秒 0-3
Q11 Express an Opinion 45秒 60秒 0-5

合計点は0~200点です。証明書にはPronunciation descriptor(Low / Medium / High)とIntonation & Stress descriptor(Low / Medium / High)も記載され、数値スコアとは別に質的スナップショットを提供します。

タスク別に Speaking が何を測っているか。

  • Q1-2(Read Aloud) — 既に書かれた文章に対する発音、イントネーション、ストレス
  • Q3-4(Describe a Picture) — 時間のプレッシャー下で明快な音声描写を組み立てる力
  • Q5-7(Respond to Questions) — 模擬電話アンケートで日常的な質問に答える力
  • Q8-10(Respond Using Information Provided) — 画面上のスケジュール、旅程、通知を読み、それに関する質問に答える力
  • Q11(Express an Opinion) — 身近な話題について60秒の議論を組み立てる力

TOEIC Writing:8タスク、約60分

コンピューターで応答をタイピングします。応答は訓練された人間の採点者が採点します。

タスク種別 時間 語数 配点
Q1-5 Write a Sentence Based on a Picture 計8分 各1文 0-3(文法+写真との関連性、指定された2つのキーワードを使用)
Q6-7 Respond to a Written Request 各10分 メール、約100語 0-4(文の質/多様性、語彙、構成)
Q8 Write an Opinion Essay 30分 300語以上 0-5(統一性、展開、一貫性)

合計点は0~200点です。

Writing が測定しているもの。

  • Q1-5(Picture Sentences) — 基本文法と、必要なキーワードを正確に組み込む力
  • Q6-7(Email Response) — レジスターの適切さ、応答の完全性、明快な書簡構成
  • Q8(Opinion Essay) — 序論、本論、結論を備えた持続的な議論

実施と結果

両試験とも、認定試験会場でETS提供のコンピューター上で実施されます。結果は最大で14営業日で届きます。L&Rと同様、S&Wのスコアも2年間有効です。

並べて比較

項目 TOEIC L&R TOEIC S&W
対象スキル Listening + Reading(受容) Speaking + Writing(産出)
実施方式 紙+CD/館内放送音声 ヘッドセット付きコンピューター
所要時間 約2時間 約20分(Speaking)+約60分(Writing)
問題数 200問の多肢選択式 Speakingタスク11+Writingタスク8
筆記用具 HB(No. 2)鉛筆 キーボード+マイク
採点尺度 10-990(セクションあたり5-495) 各試験0-200
採点方式 光学スキャナー 人間の採点者
結果到着 約10~14営業日 最大14営業日
有効期間 2年 2年
典型用途 大規模スクリーニング、配属、昇進 特定職務のための産出英語の証拠
予定された休憩 なし なし
再受験規定 必須待機期間なし(会場による) 必須待機期間なし(会場による)

どちらを受けるべきか

率直に言えば、答えは採用側・学校・移民当局が要求するもの、それ以上でもそれ以下でもない、特別な理由がない限り、です。

試験ではなく「要件」から出発する

料金を支払う前に、要求元が具体的に何を求めているのかを確認しましょう。必要な情報は次の3つです。

  1. どの試験か — L&R、S&W、または両方
  2. 何点か — 合計またはセクション別の最低点
  3. 何年以内か — 多くの場合、2年以内のスコアが要求される

日本の商社人事部なら「TOEIC L&R 730点以上」を求めるかもしれません。韓国のある航空会社は「TOEIC Speaking Level 6(130-150)+L&R 800点以上」を求めるかもしれません。台湾の公務員試験では「TOEIC L&R 785点以上」かもしれません。これらはすべて異なる要件であり、確認せずに準備を最適化するのは労力の無駄です。

最もよくあるケース:L&Rのみ

日本、韓国、台湾、中国本土、東南アジアの大半では、受験者の多数派にとって、求められるのはTOEIC L&Rスコア一つだけです。履歴書に記載され、人事データベースに入力され、配属と昇進の判断材料となります。採用側やプログラムが単に「TOEIC」とだけ言及している場合、ほぼ必ずL&Rを指しています。

L&Rのみ受けるべき場合:

  • 採用側がSpeakingやWritingを特定せず、単一の「TOEIC」要件を提示している
  • キャリアの初期で、最初の資格を必要としている
  • 個人の実力確認のためにスコアを利用している
  • 職務が主に社内向けで、英文書類を読むことはあっても正式に話したり書いたりすることがめったにない
  • 最初の履歴書を作成中で、最も広く認知されている資格を求めている

S&Wが本当に価値を生むとき

TOEIC S&Wが価値を発揮するのは、目指す職務で実際に話したり書いたりする英語を頻繁に使用し、なおかつ、その能力をL&Rだけでは判断できない採用側に証明する必要がある場合です。

S&Wを追加検討すべき場合:

  • 顧客対応の職務(ホスピタリティ、航空会社、小売、国際営業、フロントデスク)で働いている、または応募している
  • 海外パートナーとの英語会議、プレゼンテーション、電話会議が業務に含まれる
  • 社外クライアントとの英文メールを大量にさばく
  • 採用側がL&RとS&Wの両方を明示的に要求している
  • 英語での面接が行われる職務を目指しており、話す力の客観的証拠がほしい
  • L&Rで高得点を取ったが、話す英語には採用側が疑念を持っている場合 — S&Wは独立した証拠を最速で提示する手段

片方だけでもよいか

はい。TOEIC L&RとTOEIC S&Wは別商品として販売されています。片方をもう片方なしで受験でき、一方の試験が他方を前提条件として要求することもありません。十数年にわたりL&Rを何度も受験しながら、S&Wには一度も座らない受験者も多くいます。他方、TOEFL、IELTS、CEFR評価など他の資格ですでに受容スキルを証明しているため、産出スキルの証明のためにS&Wのみ受ける人もいます。

受験順も自由です。まずL&Rでベースラインを確立し、特定の職務が求めたときにS&Wを追加する人もいます。両方を同じ月に受験し、履歴書の1行に4技能そろった完全プロフィールを示す人もいます。

両方受けるだけの価値があるとき

L&R+S&Wの合計費用は高くなり、準備時間もおおむね倍増します。しかし、投資に見合うシチュエーションはあります。

  • コンサルティング・専門サービス — 英語での話す・書くが日常業務となるクライアント対応職
  • 国際ローテーション — 4技能英語が期待される海外事務所への社内異動
  • 外交、通商、政府系職務 — 国境を越えたコミュニケーションを扱う役職
  • 競争の激しい就職市場 — 他の候補者がすでにL&Rを持っている中で、自分を差別化する必要がある場合

それ以外の多くの応募者にとっては、L&R単独で十分であり、賢い選択はまずL&Rを受験してスコアを手に入れ、特定の機会でS&Wが必要になったときに追加することです。

採用側はTOEICスコアをどう使うか

TOEICを活用する14,000以上の組織で、最も一般的な用途は次のとおりです。

  • 採用フィルター — 履歴書選考を通過するためのL&R最低点の設定
  • 配属 — L&Rが高得点の新入社員は国際チームに配属される
  • 昇進 — 社内昇進で各等級ごとにL&R(またはS&W)の最低点が設定されることがある
  • 研修ROI — 研修前後のTOEIC得点を比較し、英語研修プログラムの効果を測る
  • アサインメント判断 — 海外赴任で特定のL&R+S&W組み合わせプロフィールが要求されることがある

TOEICが広く使われているため、スコアは持ち運び可能な資格となります。ある企業で取得したTOEIC L&R 850は、2年後に別の企業に応募するときにも意味を保ちます。2年という有効期間内である限り、ということですが。

申し込みと手続き

TOEICは、ETSが各地域のパートナー(ETS Preferred Network (EPN))を通じて運営しています。具体的な申し込み手順、試験日、料金は国によって異なります。ほとんどの市場では、現地EPNパートナーのウェブサイト経由でオンライン登録し、試験日と会場を選び、受験料を支払います。人気会場の席は、大都市や採用ピーク期には数週間前から埋まることがあります。

L&RもS&Wも、主要市場では毎月複数回実施されます。国によっては、誰でも申し込める公開試験日と、特定企業・大学が自組織のために予約する団体試験日が存在します。

結論

TOEICは一つの試験ではなく、二つの試験です。TOEIC L&R は、紙で実施される2時間、200問の多肢選択式試験で、リスニングとリーディングを10-990点尺度で測定します。多くの採用側、学校、ビザ当局が実際に要求している資格です。TOEIC S&W は、産出スキルを各0-200点で測定するコンピューターベースの試験で、目指す職務が話す・書く英語を必要としており、採用側がその能力の独立した証拠を求めている場合に本当の価値を発揮します。

準備を始める前に、要求元が正確に何を求めているかを確認してください。答えが単に「TOEIC」なら、ほぼ確実にL&Rです。SpeakingやWritingが明示されているか、あるいは職務が本当に産出英語を必要としているなら、S&Wの追加を検討してください。ただし戦略的に、ではなく、デフォルトとして追加するのではなく。


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